展示会で確実に成果を上げる!展示会営業Ⓡの鉄則とは?後編
展示会には勝ちパターン=鉄則がある
ご存知の通り展示会とは、東京ビッグサイト、幕張メッセ、インテックス大阪、などの展示会場で開催される商品、サービス、情報を宣伝するための催しです。
展示会には質の高い見込客が数多く集まります。そして、通常、接点を持てないような企業の決裁者と対面で直接やりとりをすることも可能です。 こうしたことから考えると展示会は、中小企業にとって非常に有効な営業手段であるはずです。にも関わらず、
『毎年、展示会に出展しているけれど、まったく売上につながっていない』
という企業が数多く存在します。
なぜでしょうか?
それは、展示会に出展する企業の90%以上が、その勝ちパターンを知らないからなのです。
展示会を活用して、優良な見込み客と出会い、受注し売上を増加させるためには、勝ちパターンとも言うべき鉄則があります。
わたしは、展示会営業®コンサルタントとして、数多くの企業をサポートしてきました。そして、さまざまな業種業態の企業が、展示会を活用して大きな成果を上げていくのをこの目で見てきました。今回のコラムでは、展示会で確実に成果を上げる鉄則である展示会営業®ノウハウについてお伝えしていきます。
展示会で確実に成果を上げる!展示会営業Ⓡの鉄則とは?前編に続き、展示会での営業のポイントについてご紹介していきます。
9割の人が知らない展示会最強のツールとは?
わたしは、あるとき、展示会場で衝撃的な光景を目にしました。それは、幕張メッセの共有スペースでの出来事でした。その男は、展示ホール5から出てきました。展示会に情報収集に来ていたようです。男は、両手に大きな荷物を抱えています。布製のカバンには、大きな文字で企業名が刺繍されています。どうやら、どこかのブースで渡されたノベルティバッグのようです。そのノベルティバッグの中もたくさんのモノが詰め込まれていてパンパンです。おそらく、展示会場で配られたカタログ、パンフレットや、ボールペン、ミネラルウォーターなどのノベルティがギュウギュウに詰め込まれているのでしょう。
わたしが衝撃的な光景を目にしたのは、次の瞬間です。
男は、その布のノベルティバッグの2つの取っ手をひっぱって固く縛りました。そして、次の瞬間、なんと・・・バッグごと、ゴミ箱に捨ててしまったのです。
マジかぁ・・・「許せん!」
「出展社さんが時間と労力とお金を使って 必死で知恵を振り絞ってつくった販促物をその場で捨て去るとは!!!」
わたしは、展示会営業Ⓡコンサルタントですから、本音では、来場者よりも出展社の心情に寄り添って考えてしまいます。ですから、この光景を目にした時、直感的にこう思ってしまいました。でも、冷静になってみると、この男の方の気持ちもわかる気がします。
「特にほしくもないけれど、 もらってくれと強く言われたから もらってやったんだ。 でも、持って帰っても仕方ないし重いから捨てたいな。」
「おっ!いいところに 大きなゴミ箱があった。(展示会場には大きなゴミ箱がたくさんあります) よし!捨ててしまおう。」
多分、悪気はなく、こんな気持ちなんだろうなと思うんです。でも、これでは、出展社にとっても、来場者にとってもあまりにも悲しすぎます。それに、地球にも優しくないです。
では、どうすればよいのでしょうか?どうせ捨てられるなら、何も渡さなければいいのでしょうか?いやいや。それはまずいです。お金と時間を費やした展示会でせっかく出会えた見込み客です。何か形に残るものをお渡しして、自社を記憶に残してもらうことは必須です。では、何をお渡しすればいいのでしょうか?
実は、この問いには、明確な答えがあります。
それは・・・
『名刺』です。名刺なら、来場者に受け取ってもらいやすい上、捨てられることは、まずありません。
「な~んだ。そんなことか。名刺ならいつも渡してるよ」
と思ったあなた。ちょっと待ってください。いつも使っている名刺を単に渡すだけでは、他のブースと同じになってしまいますよ。それでは、もったいないです。では、どうすればよいのでしょうか?答えは、『名刺を展示会用に工夫して新たにつくる』ことです。このような『展示会専用顧客獲得型名刺』をつくることが鉄則です。『展示会専用顧客獲得型名刺』の一例として、わたしの名刺を掲載しておきます。あなたが作成する際の参考にしてみてください。

しゃべりすぎ厳禁!特典をゴールにする
あなたが展示会で成果を上げたいと思うなら、絶対に踏まえておかなければならない鉄則があります。 それは、「展示会の場で即購入する人はいない」ということです。
ブース対応をしているととても反応がいい来場者がいました。いろいろ説明すると大きくうなずいてくれるのです。具体的な質問もしてくれます。しかもその人は決裁権がある経営者です。
こんな時、あなたならどうするでしょうか?
うれしくて、ついつい、長話をしてしまうかもしれませんね。でも、それでは、もったいないのです。なぜなら、
「展示会の場で、即購入を決定する人はいない」
からです。いくら反応がよい人がいても、いくらターゲットずばりの来場者だったとしてもひとりの来場者に時間をかけすぎてはいけません。その人に時間をかけている間に、他の優良な来場者を逃してしまっている危険性があるからです。
「そんなこと言っても、相手がノリノリで話をしてくるのだから、対応するしかないじゃないか?」
あなたは、こう思ったかもしれません。たしかに、来場者が説明を求めているのに出展社側から一方的に話を切るのは、少し気まずい感じがしますね。では、どうすればいいのでしょうか?ここにも鉄則があります。
その鉄則とは、「魅力的な特典をつくり、その特典に誘導する」ことです。
魅力的な特典というのは、たとえば、
- 無料トライアル
- 無料診断実施
- サンプル配布
- 事例集進呈
などです。
特典は、必ずしも無料でなくてもよいですが、できれば相手方にコスト負担がない方がよいですね。いずれにせよ魅力的な特典を用意します。そして、ブースで一定時間対話し、興味付けができたら、話が長くなりすぎる前に特典に誘導します。
「ちょうど今、この展示会の来場者様だけを対象に、〇社限定で、後日、無料診断にお伺いさせていただくキャンペーンを実施しています。とても好評で9割以上の方がお申込みになっておられますが、まだもう少しだけ枠があります。よろしければ、キャンペーンにエントリーされますか?」
というようなトークをすることによって、話を区切るのです。
この時のポイントは2つです。
ひとつは、限定性の法則を活用することです。人には希少性が高いものに魅力を感じる傾向があります。『この展示会の期間中だけ』、『〇社限定で』というフレーズをトークの中に盛り込むようにしましょう。
下図のように「あと7社」などとマジックで大きく書いたPOPをブースの目立つところに掲げておくのも効果的です。展示場を回遊している来場者が通るたびに、「あと5社」、「あと3社」と数が減っていると、気になってあなたのブースに立ち寄ってくれる可能性が高まるからです。

もうひとつは、後日、改めて訪問できるような特典にすることです。サンプルや事例集などもその場で渡してしまうと、来場者との関係がその場で終わってしまいます。それではもったいないです。そうではなくて、後日、改めて訪問して渡すような特典にしておくことで、来場者を確実にフォローすることができるのです。
このように、「展示会の場で即購入する人はいない」という前提に立ち、必要以上にひとりの来場者対応に時間をかけることなく「魅力的な特典をつくり、その特典に誘導する」ということをぜひ実践してほしいと思います。
展示会で社内の一体感を醸成する
展示会出展は、鉄則を知って取り組めば、必ず成果が出るおもしろい手法です。しかも、知恵と工夫次第で、資金力や人数で大企業に劣る中小企業でも、大企業を凌駕することができる痛快さもあります。
展示会に向けた準備は、営業部、マーケティング部だけでなく、設計開発部、企画部、製造部、購買部、総務部など、全部門からメンバーを選出しプロジェクトチームを結成して行うのが鉄則です。あなたは、「そんな、全部門を集めるなんて・・・意見が対立して大変なことになる・・・」と思うかもしれません。確かに、多くの会社には、セクショナリズムの壁があるかもしれません。特に、「早く納品することで顧客を喜ばせたい」営業部門と、「生産量を平準化することでコストダウンを図りたい」製造部門は、分業上の利害が相反しますから、一生懸命仕事をすればするほど、仲が悪くなる傾向があります。でも、だからこそ展示会というテーマを全部門で一緒に考えるとよいのです。展示会で成果を出すことを考えると、自然と顧客や競合に向き合うことになります。日ごろ、顧客やライバル企業と接しないメンバーにとって、これは大きな刺激になります。自然と視野が広くなり「社内で争っている場合ではない」、と気づくのです。展示会出展は、部門間の壁を乗り越え社内の一体感を醸成するきっかけにもなるのです。
わたしは、「展示会は中小企業が自社の想いや志を世の中に堂々と発信する最高の場だ」と信じています。
あなたの展示会の成功を心から応援しています。

文・写真:清永 健一 氏
株式会社展示会営業マーケティング代表取締役。中小企業診断士。奈良生まれ、東京在住。展示会やオンライン展示会を活用した売上アップの技術を伝える専門家。 中小企業への売上サポート実績は1300社を超え、ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没している。NHKラジオ総合で展示会の未来について言及するなど、展示会業界活性化にも尽力。展示会活用に関して、テレビ等出演のほか、行政、公益法人、金融機関などで講演多数。 著書は『中小企業のDX営業マニュアル~オンライン展示会をきっかけにしたスムーズな営業改革術~』他7作。
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