コラム

展示会で確実に成果を上げる!展示会営業Ⓡの鉄則とは?前編

 

展示会には勝ちパターン=鉄則がある

ご存知の通り展示会とは、東京ビッグサイト、幕張メッセ、インテックス大阪、などの展示会場で開催される商品、サービス、情報を宣伝するための催しです。

展示会には質の高い見込客が数多く集まります。そして、通常、接点を持てないような企業の決裁者と対面で直接やりとりをすることも可能です。 こうしたことから考えると展示会は、中小企業にとって非常に有効な営業手段であるはずです。にも関わらず、

『毎年、展示会に出展しているけれど、まったく売上につながっていない』

という企業が数多く存在します。

なぜでしょうか?

それは、展示会に出展する企業の90%以上が、その勝ちパターンを知らないからなのです。

展示会を活用して、優良な見込み客と出会い、受注し売上を増加させるためには、勝ちパターンとも言うべき鉄則があります。

わたしは、展示会営業®コンサルタントとして、数多くの企業をサポートしてきました。そして、さまざまな業種業態の企業が、展示会を活用して大きな成果を上げていくのをこの目で見てきました。今回のコラムでは、展示会で確実に成果を上げる鉄則である展示会営業®ノウハウについてお伝えしていきます。

確実に成果を上げる展示会営業®プロセス

 

3秒の壁を越えるブースキャッチコピーとは?

展示会においてブースはとても重要です。そして、その重要なブースの中でも、特に肝心な箇所があります。それは、ブースの上部です。なぜなら、『来場者の目線はブースの上部に行く』からです。展示会の来場者は、ブースの上部を見て歩き回りながら、「何のブースなのかな?」と無意識に推測しながら歩いているのです。そして、わずか3秒でそのブースが自分の役に立つかどうかを判断するのです。たった3秒です。

さぁ、少し考えてみてください。

もしも、ブース上部(この部分をパラペットと言います)が「株式会社〇〇産業」のように会社名になっていたらどうでしょう?

あなたの会社がテレビCMをやっているような大手企業なら、会社名を聞いただけで何のサービスを行っているブースなのか、ある程度想像がつくかもしれませんね。

でも、多くの中小企業は、会社名だけでは、何のブースなのか、そのブースで何を得られるのか、さっぱりわかりません。つまり、来場者がまず始めに見るブース上部のパラペットに社名を入れるのはもったいないということです。

ブース

では、どうすればよいのでしょうか?

結論から言います。ブース上部のパラペットには、「誰の、どんな悩みを解決するブースなのか」を表す文字を掲載するべきです。この文字のことをわたしは、ブースキャッチコピーと呼んでいます。このブースキャッチコピーが超重要なのです。

たった3秒で来場者に、

「おっ!これは役に立ちそうだぞ!」

と思わせること。これが、ブースキャッチコピーの役割です。来場者を素通り通りさせないためには、3秒で、ぱっと伝わるブースキャッチコピーが必要不可欠なのです。

成果が上がるブースキャッチコピーには3つの鉄則があります。

 

鉄則1は、「メリット提示」です。

来場者は、「自社や自分にメリットがある」と思うから、そのブースに興味を持つのです。

ですから、どんなメリットを与える商材を展示しているブースなのかをわかりやすく伝えましょう。ここで重要なのは、商品のスペックや実績ではなく、来場者に提供できるメリットを提示するということです。メリットを端的に表現してみましょう。

 

鉄則2は、「具体性」です。

来場者は具体的であればあるほどブースに足を止めます。 では、どうすれば具体的になるのでしょうか? それは、ブースキャッチコピーの中に数字を入れることです。

これを見てください。

copy

あなたは、AとB、どちらの方に引き付けられましたか?Bですよね。ブースキャッチコピーに数字を入れるだけで、訴求力が格段に高まるのです。ブースキャッチコピーに数字を組み込めないか?と考えてみましょう。

 

鉄則3は「TO MEメッセージ」です。

TO MEメッセージとは、来場者に「あっ!このブースは自分のためのブースだ」と感じさせることです。そのためには、『このブースは、誰の役に立つブースなのか?』をブースキャッチコピーの中に含めてしまいましょう。ここで注意点があります。というのは、来場者は、

「自分にピッタリのブースだ!」

「まさに自分のためのブースだ!」

と感じるからこそ立ち止まってくれるのです。ですから、あまり広すぎるターゲット設定をしないようにしてくださいね。

たとえば「中小企業の社長 必見!」という書き方だとどうでしょうか?形式上は、

TO ME メッセージ になっています。でも、中小企業の社長さんって、世の中に何人いるのでしょうか?個人事業主の方を合わせると、400万人以上いますね。ちょっと多すぎます。これでは、「まさに、自分にピッタリだ」とは思ってもらいにくいはずです。もうすこし絞りの効いたTO MEメッセージを考えてみましょう。

 

禁止!スタッフはビシっと立ってはダメ!

ブースキャッチコピーを練り上げて来場者を立ち止まらせることができたとしても、来場者があなたのブースに入ってきて対話できる状態になっていなければすべては始まりません。そして、実はこれが意外とむずかしいのです。来場者はなかなか、ブースに入ってきてくれません。うかつに、ブースに入ると強く売り込まれるのではないか、と警戒しているのです。警戒心いっぱいの来場者をあなたのブースに入らせるには、どのようにすればよいのでしょうか? それには、ブースで対応するスタッフの立ち位置について気を付けることが重要です。

スタッフの立ち位置にも鉄則があるのです。次の絵を見てください。

スタッフ配置の悪い例

マジメで一生懸命な会社ほど、この絵のようになります。ビシっと直立不動で‘気をつけ!’の姿勢で、ブース前に立つのです。

「よし!せっかくの展示会だ! 気合を入れてしっかり対応しよう!」

こんな風に、よかれと思ってこういう風にしておられるのでしょうね。しかし、これでは成果は出ません。なぜでしょうか?来場者の立場になってみるとすぐわかりますね。これでは、ブースの中が見えませんし、そもそもイケメンならまだしも、中年のおじさんが何人も直立不動で立てはだかっていると怖くてブースに近づくことができません。

それに、この体制だと、来場者と真正面から向かい合うことになってしまいます。人と人は、真正面で向かい合うと対立しがちになってしまいます。

では、どうすればよいのでしょうか?スタッフの立ち位置の鉄則は下図の通りです。このようにスタッフを配置しましょう。

ポイントは3点です。

(1)ブースの前は空けておき、ブースの中が見えるようにする

(2)来場者の斜め後ろから声をかけられる位置に立つ

(3)ブースの前を通りすぎようとする来場者に対して斜め後ろから、そっと「何か気になりましたか?」と声をかける。

こうすると、スタッフと来場者はブースという同じ方向をみながら会話することができます。すると会話も前向きなものになりやすいのです。

このことは心理学でも説明できます。心理学にスティンガー効果という言葉があります。スティンガー効果とは、簡単に言うと

「人間は真正面にいる人には攻撃や競争心を刺激しやすいが、隣や横にいる人には心を許しがちになる」

という現象のことです。あなたも、ぜひ、ブースから離れた場所に立って、来場者の斜め後ろから声をかけてほしいと思います。

ただし、立ち位置が、通路のセンターラインを超えないように注意してください。センターラインより向こう側は、対面のブースのスペースです。もしも、センターラインを超えた場所に立っていて対面のブースから主催者にクレームを入れられてしまうと、展示会期間中の活動を制限されてしまう危険性があります。そうなると、大きな成果を出すことができなくなってしまいます。そうならないように、センターラインを超えないように注意してくださいね。

記事の後編でも、引き続き展示会での営業のポイントについてご紹介していきます。

清永(きよなが)健一

文・写真:清永 健一 氏

株式会社展示会営業マーケティング代表取締役。中小企業診断士。奈良生まれ、東京在住。展示会やオンライン展示会を活用した売上アップの技術を伝える専門家。 中小企業への売上サポート実績は1300社を超え、ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没している。NHKラジオ総合で展示会の未来について言及するなど、展示会業界活性化にも尽力。展示会活用に関して、テレビ等出演のほか、行政、公益法人、金融機関などで講演多数。 著書は『中小企業のDX営業マニュアル~オンライン展示会をきっかけにしたスムーズな営業改革術~』他7作。 

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