展示会で数多ある他社ブースから抜きん出る!目からウロコの方法 前編
展示会は、華やかなイベントです。ある意味、お祭りと言ってもよいでしょう。来場者も、職場とはちがって、展示会場では少しお祭り気分になっている方が多いのです。
そんな展示会の場だから・・・マジメ一辺倒では成果が出にくいのです。あなたの出展商材を、お祭り気分の来場者に、強く印象に残すために、楽しさや驚きを演出することを考えてみましょう。
楽しさや驚きを演出するには、ブースで体験アトラクションを行うのが有効です。
この記事では、展示会で数多ある他社ブースから抜きんでる目からウロコの方法として、体験アトラクションについて、実事例をもとにわかりやすくお伝えします。
来場者をグッと引きつけて人垣をつくる体験アトラクションとは?
「展示会で確実に成果を上げる!展示会営業Ⓡの鉄則とは?前編」では、来場者の足を止めるためのブースキャッチコピーのつくり方についてお伝えしました。ブースキャッチコピーを練り上げることで、あなたのブースに立ち寄る来場者の数は格段に増えるはずです。では、それだけで万事オッケーなのでしょうか?そうではありません。あなたのブースに来場者の人垣をつくるためには、もうひとつ重要なポイントがあるのです。
それは、「来場者の感情を動かす」という点です。わたしたちは、特にビジネスの現場においては、感情よりも理性を重視しがちです。
理性、正論を重視した結果、
・データ(実証、予測)
・ロジック
・比較
・メリット
・こうすべき
といった要素を重視した提案資料やプレゼンがビジネスの現場にあふれています。ビジネス現場の最前線である展示会場もまさにこの状況です。
これらはもちろん重要です。重要だからこそ、「展示会で確実に成果を上げる!展示会営業Ⓡの鉄則とは?前編」で取り上げた通り、ブースキャッチコピーづくりの鉄則1は「メリット提示」なのです。あなたの商材の購入検討が佳境に入った段階では、購入検討企業はメリットや費用対効果を考えるでしょうし、購入にあたって社内で決裁をとるための稟議書はロジカルに書く必要があります。
でも・・・展示会で、「来場者がどのブースに立ち寄るか?」については、実は、理性や正論が決定打にはなりません。
展示会場に来場者として行ったことがある方は、その時の自分を思い出してください。行ったことがない人も、想像してみてください。あなたはどんな時に、ブースに立ち寄るでしょうか?
むずかしいことは抜きにして、単純に「なんとなくおもしろそうだと思った時」にブースに立ち寄るのではないでしょうか?そうです。
「ん?このブース、なんとなくおもしろそうだなぁ」という感情を抱かせることこそが重要なのです。来場者の感情を刺激することによって、ライバルではなく、あなたのブースに人垣をつくることができるのです。
≪ナマ事例≫来場者の感情を刺激し大きな成果を上げた7社
では、どうすれば来場者の感情を刺激するブースをつくることができるのでしょうか?その答えのひとつが、ゲームやアトラクションなどの楽しい体験を提供することです。このことを体験アトラクションと呼んでいます。
英語学習アプリを訴求する株式会社LACOMSさんのブースでは、アトラクションとして、ダーツを行いました。そして、ダーツで高得点を出した来場者に、自社の英語学習ノウハウの一端をまとめたシートをプレゼントしました。

また、ごまの製造販売を行う株式会社和田萬さんでは、来場者を楽しませる仕掛けとして、ある意外なものを使いました。その意外なものとは、‘おみくじ’です。和田萬さんでは、自社のキャラクター「ごまやん」が持つすり鉢の中におみくじを入れておき、来場者に引いてもらうようにしたのです。そして、そのおみくじの裏面には、自社のごま豆腐やごまアイスなど、自社商材を使った料理のレシピが掲載されているのです。


業務用昇降棚を訴求するオークス株式会社さんのブースでもおもしろい取り組みを行いました。
オークスさんの商材である脚立なしで上げ下ろしできる棚の上に、抽選くじを置いたのです。そして、来場者さんに、その棚をひっぱり下ろしてしてもらいます。さらに、ひっぱり下ろすだけでなく、その棚にあるくじをひいてもらうのです。このことによって、来場者さんは、脚立なしで、大きな力も必要なく、棚を引き下ろせるという、この商材の価値を体験します。
そして、引いたくじが、当たりだったの場合は、通常有料のバックヤード効率化診断を無料でして差し上げることにしました。


上の写真をご覧ください。これは、チップソー(丸のこぎりの先に超硬チップが付いたもの)を製造販売している株式会社オリオン工具製作所さんがブースで行った体験アトラクションです。
ブースの軒先に、2つのチップソーが吊り下げられています。ひとつは、自社のもの、もうひとつは一般のものです。そして、「たたいて“振動と音”のちがいを確かめてみてください」と書いてありますね。実際叩くとどうなるのでしょうか?
一般のチップソーを叩くと、「ボ~ン」と大きな音が反響します。しかし、オリオン工具製作所のチップソーを叩いても、「コツン」っと打撃音がするだけで大きな音は出ません。
その理由は、オリオン工具製作所のチップソーは、一般のモノと比べて「叩いてもあまり振動しないからです。振動が少ないから、反響せず大きな音が出ないのです。
これは、自社製のチップソーは、揺れなどの外部からの刺激があっても高精度で切断することができることを暗に説明しているのです。
単に、「当社のチップソーは外部からの刺激に強く高精度な切断を実現します!」と口頭で説明だけの場合と、実際に叩いてみて、音のちがいを体感して、来場者が「なぜ音がこんなにもちがうのだろう?」という疑問を抱いた上で、「当社製は外部からの刺激があっても振動しにくいのですよ。だから高精度で切断できるんです!」と伝えるのとだと、どちらの方が、来場者の記憶に残りやすいでしょうか? 答えは明白ですね。
自ら違いを体感し「なぜだろう?」と疑問を持った後なら、来場者は素直に話を聞いてくれるのです。その状態なら、「だから高精度での切断が可能なのです。」と伝えた後に、「なぜこれを実現できるかと言うと・・・・」と話を続けることによって技術的な少し難しい話でも聞いてくれるでしょう。これが、体験アトラクションの力なのです。
それと単純ながら「大きな音がする」という点もこの体験アトラクションの重要ポイントです。
なぜなら、ブースから大きな音がすると、周辺にいる来場者は、思わず音が鳴っている方向を見るからです。ブースが目に入ると、「何か面白そうなことをやっているぞ。ちょっとのぞいてみよう。」と考え、ひとり、ふたりと人が立ち止り始めます。こうして人が集まって来れば、行列が行列を生む好循環が生まれ、人だかりができるのです。
前述のとおり、「できるだけブースに立ち寄らないでおこうとしている」思考停止の来場者すら「ん? なんか鳴ったぞ?」と、自社ブースに惹きつけることができるのです。
同様の効果を得るために、体験アトラクションの様子をマイクで実況中継するというのも有効な手法です。
記事の後編でも、引き続き展示会での体験アトラクションについてご紹介していきます。

文・写真:清永 健一 氏
株式会社展示会営業マーケティング代表取締役。中小企業診断士。奈良生まれ、東京在住。展示会やオンライン展示会を活用した売上アップの技術を伝える専門家。 中小企業への売上サポート実績は1300社を超え、ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没している。NHKラジオ総合で展示会の未来について言及するなど、展示会業界活性化にも尽力。展示会活用に関して、テレビ等出演のほか、行政、公益法人、金融機関などで講演多数。 著書は『中小企業のDX営業マニュアル~オンライン展示会をきっかけにしたスムーズな営業改革術~』他7作。
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