展示会で数多ある他社ブースから抜きん出る!目からウロコの方法 後編
展示会は、華やかなイベントです。ある意味、お祭りと言ってもよいでしょう。来場者も、職場とはちがって、展示会場では少しお祭り気分になっている方が多いのです。
そんな展示会の場だから・・・マジメ一辺倒では成果が出にくいのです。あなたの出展商材を、お祭り気分の来場者に、強く印象に残すために、楽しさや驚きを演出することを考えてみましょう。
楽しさや驚きを演出するには、ブースで体験アトラクションを行うのが有効です。
この記事では、展示会で数多ある他社ブースから抜きんでる目からウロコの方法として、体験アトラクションについて、実事例をもとにわかりやすくお伝えします。
展示会で数多ある他社ブースから抜きん出る!目からウロコの方法 前編に続き、展示会での体験アトラクションについてご紹介していきます。
3Dを使ったソリューションを提供するスマートスケープ株式会社さんでは、ものづくりワールド・設計・製造ソリューション展で、3D類似形状検索システムをアピールしたいと考えていました。
この3D類似形状検索システムは、図面上の細かい形状を把握することができるとてもすぐれた製品です。しかし、そのことをそのまま、ブースでアピールしてもおそらく伝わらないでしょう。何がすごいのか、どう役に立つのかがわかりにくいのです。
そこで、スマートスケープさんでは、この製品の特長を体験アトラクションの中で伝えることにしたのです。
体験アトラクションはこうです。まず、パッと見ただけではちがいがわからない部品の図面を60個ほどパネルに掲示します。そして、スクリーンに表示した部品と同じものを来場者に30秒で探してもらうのです。

同じような部品が並んでいるので、簡単には正解はわかりません。来場者が四苦八苦しながら、正解を探そうとする様子をマイクで実況中継します。
「高さがちがうようです!」
「あ~、惜しいです。でも穴径がちがいます!」
「同じ形状を人間の目視で見極めるのはむずかしいですねぇ!」
この体験アトラクションをすることで、アトラクションに参加した人やそれを見ている人は、図面に記載された部品の細かい形状を人間の目で把握するのが、いかにむずかしいかを自然と理解します。
そこで、すかさずこう言います。
「でも、弊社の製品なら一瞬で正解を探すことができます。」
スマートスケープさんでは、このようにして、体験アトラクションを活用して効果的にその製品のよさを伝えたのです。
どら焼き製造業の丸京製菓株式会社さんは、単に試食してもらうだけでは、他のブースと同じになってしまうと考えて、ある仕掛けをつくりました。

その仕掛けが上の写真の食べ比べアトラクションです。食べ比べアトラクションとは、来場者に、複数の商品をすべて食べてもらい、一番おいしいと感じた商品ににシールを貼ってもらうという仕掛けです。人はだれでも、自分の感覚が他の人と同じなのか、それとも特殊なのかということに、潜在的に興味を持っています。だから、この写真のように、すでにシールが貼ってあると、自分が多数派なのか、少数派なのか知りたくて、つい食べ比べをしてしまうのです。食べ比べですから、単に試食するよりも、じっくり味わってもらえます。
そしてシールを貼ったその瞬間に「あっ!●●の方がお好みなのでね」と言いながら、「お目が高いです。●●は、***という原料を使っていて・・・」と自然な流れで商品の良さを訴求し、来場者の印象に強く残すことができるのです。
この方法は、食べ物、飲み物以外の商材にも応用可能です。来場者に比べてもらい、好みの方にシールを貼ってもらうという「比べてもらうアトラクション」は非常に汎用性が高い体験アトラクションです。あなたも、自社商品でこの「比べてもらうアトラクション」ができないか、ぜひ考えてみてほしいと思います。
ここまでお読みいただき、「体験アトラクションかぁ。うちの商材だとどうやればいいんだろう・・・むずかしいなぁ」そう思った方がいるかもしれません。そんな方も安心してください。どんな商品、サービスでも取り入れやすい体験アトラクションがあります。
それは、「クイズ形式にする」という方法です。例で説明します。
この写真をご覧ください。これは、シロアリ駆除・防除の株式会社トラストさんが行ったクイズ形式の体験アトラクションです。

第一問
浴室で羽アリが飛んだということで見に行くと水面に200匹浮いていました。
そのヤマトシロアリのコロニーの仲間は土中に何匹いるでしょうか?
画用紙にこのように書かれています。むずかしい問題で見当もつかないですね。でも、クイズとして出題されたら、反射的に考えてしまいませんか?
ここからの工夫も秀逸です。単に回答を口頭で伝えるだけだと体験アトラクションとして面白味に欠けますね。そこで、来場者自身に、正解をひっぱり出してもらう、という参加型にしたのです。
この写真のように、「解答はコチラ」というしおりを来場者自身にひっぱってもらうと、正解があらわれるのです。
貼られたシールをひっぱっていくと、2万匹、という文字が現れます。
「くっそ~。残念。そんなに多いのかっ!」
来場者は、熱くなって悔しがるかもしれません。こうした感情が動いた経験は記憶として鮮明に残ります。このようにして、さまざまなブースを見て回る来場者の記憶に自社のブースを記憶に残すのです。
「でもホントに2万匹もいるんですか?」中には、こんな風に質問してくる来場者がいるかもしれません。こうなればしめたものです。
「そうなんです。なんで2万匹もいるかと言いますと・・・」
と会話を続けていけばよいのです。こうした内容の会話は、出展社の専門性をアピールすることになりますし、自然と出展商材の話につながっていくはずです。
また、「頭が回転せず思考停止している」来場者もクイズとなると興味を沸いてくれます。
彼らを思考停止状態から正気に戻すために体験アトラクションは非常に有効です。
体験アトラクションを受注につなげる3つのポイント
このような体験アトラクションを効果的に行うポイントは、3つあります。
一つ目は、来場者が身体を動かすようなアトラクションをつくることです。展示会場の人込みの中を練り歩き続けるのは来場者にとって想像以上に大きなストレスなのです。そんな中、身体を動かしてリフレッシュしてもらうことで、あなたの会社のブースを、他のブースとは異なる好印象とともに記憶してくれるようになります。
二つ目は、体験アトラクションをにぎやかに行うことです。マイクで実況中継するのもよいですし、高得点が出たときには、「当たりましたぁ!」という元気のよい掛け声とともにハンドベルなどで祝福の鐘を高らかに鳴らしましょう。人は、にぎやかなところに集まります。そして、人が集まれば、その集まった人がさらに人を呼び、人垣ができるのです。
三つ目は、単に体験アトラクションを提供するだけではなく、体験アトラクションの賞品として景品を用意するという点です。この景品を何にするかが大きなポイントです。景品は、ただの粗品であってはいけません。ボールペンやミネラルウォーターなどを景品にするのはもってのほかです。では、どのような景品にすればよいのでしょうか?
答えは、「自社の商品やノウハウがすぐれていることが伝わるようなものを景品にする」です。LACOMSさんや和田萬さんの事例のように、ノウハウシート、レシピ、診断などがよいでしょうね。そうすることで、受注・成約までの動線がスムーズに進むようになり受注率が高まります。
展示会は演劇、ブースは舞台、スタッフや役者、来場者は観客
展示会を演劇にたとえると、ブースは舞台です。スタッフは役者で、来場者は観客です。
そしてこの演劇は、時には観客も舞台に上がる参加型タイプのものです。どのような舞台装置にすれば、役者であるスタッフが演じやすく、観客である来場者の印象に残り好評を博するかを、あなたも脚本家として考えてみてほしいと思います
展示会のブースで楽しさや驚きを生む体験アトラクションを行うことによって、来場者は数多あるライバルのブースでなく、あなたのブースに立ち寄るようになります。ぜひ試してみてください。
あなたの展示会の成功を心から応援しています!

文・写真:清永 健一 氏
株式会社展示会営業マーケティング代表取締役。中小企業診断士。奈良生まれ、東京在住。展示会やオンライン展示会を活用した売上アップの技術を伝える専門家。 中小企業への売上サポート実績は1300社を超え、ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没している。NHKラジオ総合で展示会の未来について言及するなど、展示会業界活性化にも尽力。展示会活用に関して、テレビ等出演のほか、行政、公益法人、金融機関などで講演多数。 著書は『中小企業のDX営業マニュアル~オンライン展示会をきっかけにしたスムーズな営業改革術~』他7作。
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